アンドリューの成長を描く親子の物語、大傑作でした…!!
後半、特に最後の演奏部分なんかは常に鳥肌が立ちっぱなしで、この映画を7年もの間見ていなかった事に悔しさを感じるレベルでした…
ですが、すてぃぶりを見てたからこれだけ感動したのかなとも思いますね、以下本文
この作品、人が成長を続けるためには何が必要なのかを描いてる、というのが私の解釈なのですが、じゃあ成長を止めない為にフレッチャーがだした答えはなんだったのかというと
・超えるべき壁がある事
・進み続けるための自信
この2つなんだと、私はフレッチャーに教えられた気がしました
・アンドリューが超えるべき壁
子供は自分の超えるべき壁として父親を見る事が少なからずありますが、アンドリューの父親は母親がいないせいか、愛情のかけ方が凄く母親的で、超えるべき壁として成立していなかった
序盤で『両親に音楽家は?』『父親は?母親は?』と質問するシーンがありましたが、アンドリューは音楽の才能があるにも関わらず、彼にとっても目標とすべき、超えるべき壁がない事にフレッチャーは気づいたんです
「偉人たちの音楽を聴け」「チャーリーパーカーがなぜバードになれたのか、それはシンバルを投げられたからだ」という話をここでしたのも、納得が出来ます
アンドリューの超えるべき壁として自分が立とうと、そう決意した言葉だったんです
だからこそ、あれだけ厳しく、真剣に、ぶつかっていったのだと思います
最初に家族の物語と言いましたが、構図を見るとまさにそうですよね
傷ついて帰って来たアンドリューを優しく抱き留める母親のお父さんと、誰よりも彼の可能性を信じ突き落とし続ける父親のフレッチャー、まさに家族の物語です
・進み続けるための自信
フレッチャーはクズ、アンドリューが妄信的過ぎて理解出来ない、こういう感想も見てると結構多いなと感じました
でもアンドリューの人生で彼に真剣に向き合ってくれたのって、フレッチャーが初めてだったと思うんです、だから着いていけたんじゃないかなと
それはきっと、両親についての質問した時点で、フレッチャーも理解していたはずです
ご飯を食べているシーンで、親戚(?)だけでなく、父親からも音楽の夢に対して反発されてたり、最初の練習着がヨレヨレの白Tだったのも、人の目を意識していないのが良く分かりますよね、誰も真に彼を見ていなかった
最初の演奏で声をかけられ、またその後に楽団に誘われた事で、フレッチャーに認められたと感じたアンドリューは、たぶん人生で初めて自分に自信を持ち、そこに意味を見出す事が出来た
それを裏付けるように、そこからは練習着の色も黒に変わり、ヨレヨレの服を着る事もなく、気になる子に告白する勇気まで持ちました
これだけでも、フレッチャーに着いていく理由には十分過ぎると私は思うんです
それからアンドリューには地獄のような練習の日々が待っていますが、アンドリューは血を流しながら挑み続けます
それは狂信的にも、妄信的にも見えるかもしれない、でもそうじゃない
それに屈し、楽団から去るというのは、自分の全てを無くす事と同義なんです、死ぬ事と変わらない、去るわけがないんです
また、フレッチャーの楽団員って、彼を前にすると全員顔を下に向けるんですよね
声をかけられる事への恐怖や、音を間違えてはいけないという強迫観念からだと思うんですけど、メッツが音がずれていないのにも関わらず「自覚が足りない」と追い出されたシーンがありましたが、彼らにはフレッチャーに立ち向かう勇気も、這い上がる為の理由も、そのための自信も、何もかもが足りていなかった
しかしその中で、アンドリューだけはいつも前を向いてるんです
なぜなら、フレッチャーは自分を認めてくれた唯一の人だから
コイツは何をやっても這い上がると、そうフレッチャーが認めた理由はこういう所でも細かく描かれていて、本当に素晴らしい映画だなと感じました
・フレッチャーが伝えたかった事
この映画を観た後に、吉宗鋼紀すぺしゃるで「私の目は節穴マインド」という話題があったのですが(下記動画の4:18:46~)
これどういう事なのかを端的に説明すると、人は自分の視野・視点・レイヤーのみでものを決めつけてしまう事が多いから、常に私の目は節穴だと思う事で、他の視点、その先まで調べるようになる、という話なのですが、フレッチャーが言いたかった事ってまさにこれで
この作品で言い換えると
自分の視野だけで見えている所に本当のゴールはない、常に自分の実力を疑う事で人は成長を続ける、と
それを実行するために必要なのが
・超えるべき壁がある事
・進み続けるための自信
この二つだった、これがこの作品が伝えたかった事なんだと私は解釈しました
奥深い…本当に素晴らしい作品です!これ仕事でも私生活でも凄く大切な気持ちだなぁと
最後に私の大好きなラストについて!
この映画、ラストがもう…もう…!!本当に最高なんです…!!
どん底に叩き落されたアンドリューが叩き始めたのが、そう、キャラバンなんですよね!事故にあって演奏が出来なかったあの曲です!
事故に合う直前の二人の台詞で
「いつでもお前を切る事が出来る」「いいや切れない」「なら試してみろ」
っていうのがありましたけど、その答えがまさかラストに来るなんて…ほんと鳥肌でしたね!いけ!!って思わず声に出てました(笑)
また演奏始める時に『俺は這い上がるぞクソ野郎ッ!!』って、もう目だけで台詞が聞こえるんです!キャストさんの演技も本当に素晴らしくて!
フレッチャーも期待に応えるアンドリューを見て、どんどん笑みが増えて、指揮もノリノリになっていくんですよね
あそこからはもう二人の会話で、最後に相応しい最ッ高の演奏でした…!!!
最後は少し熱くなってしまいましたが(笑)
まだ見てない方がいたら、是非オススメです!
きっとあなたの人生を豊かにしてくれる最高の作品になると思います!
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