気持ちのメモ帳

何故その作品を面白く感じたのか、日々考えた事を忘れないためのブログ。基本ネタバレなのでご注意を…考察はありません、全て妄想です。断言してる表現があったとしても、私は私が考えた事が必ず正しいとは思っていません。

【響け!ユーフォニアム】1期8話、久美子に対する高坂麗奈の台詞は何故「愛の告白」なのか

「久美子って性格悪いでしょ?」

「もしかして、それ悪口?」

「違う、これは"愛の告白"」

 

最近短編劇場版で熱が高まり過ぎてしまい、テレビシリーズと映画2本を2周してしまったのだけど、個人的に1.2で争うほど好きな1期8話の麗奈が改めて良かったなぁと感じたので、それに関する私の妄想をば

大吉山でのシーン、久美子に対して放った高坂麗奈の台詞は、何故「愛の告白」なのか

 

2期11話で描かれた麗奈の子供の頃の回想

「麗奈ちゃんには、私の気持ちなんて絶対分からないもん」

「なんでそんな事言うの…?」

「麗奈ちゃんは頑張れって言うけど、私の家、麗奈ちゃん家みたいにピアノないし…!!」

麗奈のお父さんがプロのトランペット奏者で、それで家族を養っていけているレベルの人という前提と、ピアノが家にあったり、楽器を子供の頃から与えられていたりと、そこからある程度お金に余裕がある家庭という事は分かります

 

上記の描写からも努力が出来る環境がある上で、ピアノが上手く、音楽の才能があるという事も(あまりこういう言葉は使わない方がいいのかもしれないけれど…)

プロの奏者であるお父さんや、滝先生含め、周りにはその道の人が多い事も一連の内容から容易に想像出来ます

そんな環境では自分が一番下で、だからこそ自分が出来る事の難しさに気づきづらい

 

また子供の頃は視野が狭いもんです、自分の家庭がどの程度の位置にいるのかというのを考えた言動や行動をするというのは難しい

パンがなければケーキを食べればいいじゃない!ではないですが、努力が出来る環境と才能を持った彼女が、同級生にそれを求めてしまうのは子供だという事を考えればしょうがない事です

そういった事を想像出来ない環境や年齢だからこそ、麗奈の素直な言葉は人を傷つけ、孤立していく

 

そんな自分を肯定するためには、自分は特別なんだと位置づけるしかなかったのだと思います

 

私は特別で、周りとは違う、そうならなければいけない、見下してさえいるかも、だけど、それこそが自分の存在証明だと

 

一人の描写が多い事や言動を見ても友達が多いとは到底思えません…

練習も人一倍して、人と仲良くならない事で自分を説得していた部分もあるのかも…

 

そんな彼女が心を開いた身近な存在が滝先生、年齢もそこまで離れておらず、何より上手い

 

自分の両親にも認められている特別な存在で、だからこそ憧れて、恋へと昇華していく過程は容易に想像出来ます

心を開ける存在というのは、自分と同等・それ以上に上手いか、努力の出来る人だけなのだと思います

 

先日観たアンサンブルコンテスト編で、人の内面より演奏の上手さで人を判断してる描写があるのですが、上記の前提があるとより納得のいく描写になっています

「つばめちゃんがいいって言ったのは麗奈なんでしょう?」

「それはね、実際上手いし」

「じゃあ修一は?」

「同じ、上手いから」

 

ではここから本題、1期8話の麗奈の台詞「久美子って性格悪いでしょ」という台詞は何故「愛の告白」なのか

私自身音楽に精通しているわけではないので、正直作中の演奏はみんな上手く感じるのだけれど…(笑

描写からして麗奈が久美子より上手いとは到底思えません

 

でも麗奈は心を開いた、何故か

 

そもそも麗奈に近づく人間は上記の事もあり少なかったのだと想像出来ます、特別な存在になりたい、それは孤独になることの=でもあって

 

そんな中、中学最後の大会で事は起こった

「本当に全国行けると思ってたの?」

ダメ金の悔しさに泣いている麗奈に対し、久美子の見透かしたような発言

心の奥底では思ってたとしても口には普通出さないし、気づかないようにする事を平然と言ってのける久美子パイセン、痺れるけど憧れない

 

1期の冒頭を見ても、この二人中学の段階では友達ですらなかった事が分かります

そもそも麗奈に近づいてくる人間というのが稀だったのに、1段も2段も飛び越えて心に踏み込んで、踏み抜いてきて、そんな彼女に興味を持った

「でも私、久美子のそういう所気になってたの、好きっていうか、親切ないい子の顔して、でも本当はどこか冷めてて、だからいい子ちゃんの皮、ペリペリってめくりたいなって」

「それはどういう…」

「分かんないかな、私の愛が」

 

 

誰かと交わらず、孤高である事すら自分の背中を押す事になってたのだと思います

そんな彼女が他人に興味を持って、自分の存在証明をかけた生き方を捻じ曲げて、踏み込んで、問いかけるのです

久美子って、性格悪いでしょ?

 

愛の告白、まさにそうだと思います。

 

2期11話で滝先生の奥さんが自分と真逆な性格だと知った後、それでも自分を貫いた麗奈

表情を変える事もなく、音が乱れる事もなく、むしろそれまでよりも力強い音を響かせていた

そんな彼女が自分のスタイルを捻じ曲げた数少ない描写が、この1期8話の久美子との会話です

その後の二人の尊さを表すめちゃくちゃ良いシーンで、本当に何回見てもエモいですね…

 

本人の自覚があるかは置いといて、久美子への意趣返しにもなっている所も好きです(笑)

 

来年の春からはアニメ3期も始まり、アンコン編の描写から波乱の予感は大いにしますが、また二人の尊いシーンが見れそうなので、ほんとめちゃくちゃ楽しみです!

anime-eupho.com