気持ちのメモ帳

何故その作品を面白く感じたのか、日々考えた事を忘れないためのブログ。基本ネタバレなのでご注意を…考察はありません、全て妄想です。断言してる表現があったとしても、私は私が考えた事が必ず正しいとは思っていません。

『MUSICUS!』めぐるルート感想

めぐるルート終わった…面白かったの一言で終わらせるには勿体ないほど素晴らしかったよ…これは是非多くの人にやって欲しい!!

※このゲームに感銘を受けすぎて、ロックなんてやった事ない私がロックについて語りますが、ロックを分かっただなんて微塵も思ってませんので、怒らないでね(笑)

 

以下本編

自分の生き方って、本当にこのままでいいのかな…みたいな漠然とした不安感って、大なり小なり、きっと誰しもが経験あるんじゃないかなと思うんですけど、MUSICUS!に出てくる登場人物たち(ロックンローラー)って、この気持ちと常に戦っているんじゃないかなって思うんです

 

めぐるルートはこの気持ちを吹き飛ばすための、彼女の生きる道は間違っていないんだと、それを証明するためのお話でした(私の中では)

 

めぐるは小さい頃からお母さんの言う事に対して、嫌な事があっても何も言えなくて、学生生活も捨てて、グラビア撮影やアイドルをやって、でも再婚してからはめぐるに対しての興味が薄れたせいか、あっさり辞めさせてもらえて…でもその頃には自分に何も残ってない事に気づいた

期待に応えようと頑張ってきたのに、期待してくれていたお母さんも、もう自分には興味は少ない

もう生きてる意味なんてないんじゃないかって、でも自分のお気に入りの曲を作ってくれた朝川師匠にもう一度会ってから死のうと

 

めぐるのお気に入りの曲とは違いますが、後々出てくる朝川師匠の曲「Dearly LOVE」って、凄く真っすぐな曲なんですよね、たぶん他の曲も同じなんだと思います

 

言いたい事はあっても口には出せない、思い詰めてしまう

そんなめぐるが朝川師匠の曲に惹かれたのって、凄く納得がいきます

事務所の前で言いたい事を言い出せずにいた彼女を、朝川師匠が事務所に招き入れてギターを教えたのも、きっと自分と同じ匂いを感じたからなのかなって

 

馨がめぐるの部屋で

毎日心の旅をしてるんだと思うようにしてる、たどり着く場所があるかは分からない、このままいつまでも彷徨い続けてゆくのかも…

という話をしていましたが、めぐるにとって朝川師匠の人生は、これから自分の歩んでく旅そのもので、その旅のゴールにいるであろう彼が、死を前にしてロックを否定しようとしている

 

朝川師匠にロックンローラーの心を思い出してもらおうと、彼の曲をライブで披露しようという流れになりますが、ライブの直前に金田が良い事を言うんです…

俺は鎮魂歌をやるつもりはねーぞ、俺たちが演奏するのはロックだ、俺達が明日生きるためのな

もうまさにこれで、あのライブって、めぐるがこれから生きていくための演奏なんですよね

ロックで生きてきた朝川師匠が死の間際に、ロックなんてほどほどにしておけという言葉を残していなくなるって、それはロックで生きる者の敗北、つまりめぐるの生き方の否定なんです

 

だからこそ、あのライブでロックンローラーの生き方ってやつを思い出してもらわないといけなかった

音楽を辞めて、最後に家族と会いたいと嘆いている、そんな師匠に対して最後に送る曲が、朝川師匠が結婚して初めて子供が出来た時に作った『Dearly LOVE』

気付いたら一人じゃない
気付いたら隣には守るべき人が
一人では見えない景色に気付いたよ
想い 誓い 歌に乗せて
愛してくれたこと 励ましてくれたこと
君に会えたこと その全てにありがとうを送るよ
伝えたい言葉がある
伝えたい想いがある
歌に乗せてみりゃ言葉じゃ伝わらないようなことだって
真っすぐ伝わる気がするんだ
泣いてしまいたい時 逃げてしまいたい時
どんな時でも 君を必ず守ると ここで誓うよ
君がいるから こんな僕も強くなることができたよ
守る強さ持てたんだよ
愛してくれたこと 励ましてくれたこと
この先ずっと 僕の大切な宝物さ
君が笑ってる 僕と一緒の未来
一緒に生きて行こう 歌でも歌いながらさ

これすっごい真っすぐな歌ですよね

朝川師匠の性格からは考えられないくらい

でも当然です、言葉じゃ伝えられないものも音楽なら伝えられる、それがロックンローラーなんですから

この曲を選んだめぐるの気持ちが凄く伝わって来ます

私達みたいなまともじゃない人間は言葉だけじゃ伝わらない、ロックンローラーなら音楽で伝えろ!!思い出せ、それを教えてくれたのはあんただろ!!って

演奏中のめぐるを見た馨が、彼女の事を「クッソ気合いが入ってる」と評していますが、気持ちを考えると当然です、気合いが入らないわけがない

 

師匠からもらったものを今度はめぐるが返すっていうこの構造が、もうエモくてエモくて…涙が止まりませんでした…

 

その後病院で記憶も戻り、起き上がっていた朝川師匠を見た時は、私も思わず声が出てしまいました…やったよ金田、ロックの勝利だぞ金田ぁ!!(金田かいw)

 

まためぐるにかけた言葉が凄くいいんですよね

お前も相変わらずだな、早くなると音のツブが揃わない。力み過ぎなんだよ。力を抜け。何百回言わせるんだ。ちっとも上達しねえな。才能がないんだから、もっと真面目に練習しなきゃダメじゃねえか

 

ま、でも、いい演奏だったぜ

これに対してめぐるは、口元を抑えて嗚咽を堪えます

以前馨と行ったカフェで、いつもボロクソに言われながら練習したと言ってましたが、たぶん褒められたのって初めてなんじゃないかなと

今まで歩んできた自分の人生は間違ってなかったって、きっとそんな気持ちになったんだと思います

 

その後、彼が旅の最後に残した

もう一度、ライブをしてぇな…

という言葉は、めぐるのこれまでと、これからの生き方を肯定してくれていて、めぐるルートにおける、まさに集大成のような言葉でした

 

これを受けてのラストシーンがまた凄く良くて、ライブ前に師匠を亡くした事を気に病んでいるんじゃないかっていう馨に対して、めぐるが

だってさ、ステージで楽器を演奏するって、世界で一番楽しいんだよ!

と、以前からも同じような事を言っていましたが、師匠のそれを受けて迷いのないものになっていて、本当に綺麗な、素晴らしいラストでした

 

まだ1人目なのに…神ゲーすぎないかMUSICUS!!

クラファンやって良かったと、心の底から思います

 

最後に、病室に今まで頑として顔を見せなかった朝川師匠の奥さんと娘さんが入って来ますけど、これって最後にギターを弾いた姿が、若かりし頃の朝川師匠の姿にダブって馨に見えたように、きっと病室の外でその音を聞いてた家族も、彼の昔の姿を思い出して伝わったものがあったんだと思います

だって感謝の言葉でさえ、音楽で伝えてきた人なんですから

それこそ、最後の演奏しようとしていたのはDearly LOVEだったのかもしれません

 

朝川師匠の生き方って、やっぱりすごくロックで、めちゃめちゃかっこいいなと

めぐるも、朝川師匠も、凄く大好きなキャラになりました

 

あぁ…ロスが凄い…次はかなり辛いと噂の、BADENDに行きたいな

その前にもう1周してこよう

 

追記、最後のライブについて

https://twitter.com/age_koukidou/status/1521684423284256769?t=_c1XVBMk2J4dslGHxL81Xg&s=19