気持ちのメモ帳

何故その作品を面白く感じたのか、日々考えた事を忘れないためのブログ。基本ネタバレなのでご注意を…考察はありません、全て妄想です。断言してる表現があったとしても、私は私が考えた事が必ず正しいとは思っていません。

PS4版『魔法使いの夜』感想 奈須きのこ先生の原点、決意の物語

 

 

 

 

12年ぶり、魔法使いの夜クリア!今回はPS4のフルボイス版


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懐かしさはあれど、古臭さを全く感じない

 

そして今回の変更点であるフルボイス化、当たり前だけどキャラの感情がみえやすいというか、雰囲気が変わったというか、声優さんって凄い、もはや別作品

奈須きのこ先生の作品は雰囲気が独特だから台詞なしだとそれが際立って良いんですけど、ボイスがつくとまた違った魅力が出てきますね

 

あとは12年も経つとさすがに感想も変わるもので、1度目は凄まじい演出や世界観、橙子さんのかっこよさに目が奪われていましたけど、今回は奈須きのこ先生の決意が描かれた作品のように感じました

 

 

奈須きのこ先生の決意の象徴である蒼崎青子

マライ・メントラインさんが色んな事柄をよく銀河英雄伝説に繋げてお話をしているけど、最近の私にとってはそれが"MUSICUS!"と"映画大好きポンポさん"らしい、色んな作品と繋がって見えます

 

型月作品って外側が面白いからそれだけで楽しめちゃうのですが、基本的に出てくる人の多くがなにか1つのために全てを捨てられるガンギマリの人間だから、昔やった時はあまりに私とかけ離れ過ぎてて、感情移入があまり出来ませんでした‥

 

いや、今もその感情が分かっただなんて驕った考えは持っていませんが…

 

でも、MUSICUS!やポンポさん、メイドインアビス、君嘘等など、これまで色んな作品を見てきて、作者の描き方というか、考え方に凄く繋がりを感じるようになって

memommo.hatenablog.com

上のブログでも書きましたけど、クリエイターを描いた作品は

"本当の自分と向き合うためには、人に刺さる作品を作るためには、それ以外の多くのものを捨てなければいけない"

これが描かれてるように思います。

 

最近ブログを書いてて思いますが、好きな作品があったとして、その理由、自分のどこに刺さったのか、これってなんとなく感じてるだけで、ちゃんと理解する事、それを文字に起こす事って凄く難しい…たぶん多くの人って自分が思ってるほど自分を理解してないんじゃないかなって

 

映画大好きポンポさんで

「満たされた人間っていうのは、ものの考えが方浅くなる。幸福は想像の敵。彼らにクリエイターの資格なし。そういう連中に比べてジーン君は社会に居場所がない、追い詰められた目をしているの。

現実から逃げた人間は心の中に自分だけの世界を作る。社会と切り離された精神世界の広さ、深さこそがクリエイターとしての潜在能力の大きさなの」

という台詞がありましたけど

自分の感情感性を奥底まで掘り起こして、それを広げ、そして作品に込めてるのが、きっとクリエイターの生き方なんだと思います。

そのために余分なものを捨てる事が大切だと。

 

マブラヴの原作者である吉宗鋼紀先生が、以前放送で物語を描く事について話をしていて

「1本目は今までたくわえてきたものがあるから誰でも書ける。でも2本目、3本目からが難しくなっていく。でも本番はそこからなんだ」

満たされていたものが無くなった時、本当の自分がみえてくると。

上の文脈で聞くと納得しかなくて、最近そういった作品を多くみていたものだから、凄く頭に入って来る話でした。

 

そして本題に戻るわけですが

 

作中終盤の会話

青子「後悔なんてのはね、草十郎。するものじゃなくて、無くしていく為にあるものなのよ」

 

草十郎「今まで、目に映るすべてを山と比べていた。 こんな場所は、本当は嫌いだったんだ。今でも、正直なじめない。
でも、いつか比べるのは街になってしまうんだろう。 自分は、こっちに下りてきてしまったんだから
うん。それは仕方のない事だ。ただまあ、そうなるのなら、そうなってしまう以上に、素晴らしいものを手に入れないといけない。後悔を、いつか、後悔と思わないために」

後悔に縛られて"いた"草十郎と、後悔した過去の自分を肯定するために前を向く青子

 

人の奥底に刺さる作品を作るためには、それ以外のものを捨てなくちゃいけない

青子が過去の自分を肯定するため、それまでの全てを捨てても前へ歩き続けたように

自分が捨てたもの、選んでこなかったものは元には戻らないけど、それでも後悔しないように、描いた作品でそれ以上のものを手に入れるんだって

奈須きのこ先生がこの生き方を選んだ、その決意のメッセージを込めたように感じます

 

きっと草十郎は奈須きのこ先生そのもので、 蒼崎青子っていうキャラクターは理想と決意の象徴なんじゃないかな

 

型月の原点なんて言われてる作品ですけど、それも納得です

 

まさに始まりの物語

 

青子のロックが好きって設定も文脈に沿っていてめちゃくちゃ分かります

 

■三人の関係について

それにしても『ある日の出来事』は12年越しにみても最高です

実はけっこう前に有珠は忘却のルーンを見つけていたというオチ…エモい…エモ過ぎるぜ…!

 

あの三人の関係は凄くいいですよね

新しいものを拒絶する有珠

新しいものを取り入れても芯は変わらない青子

新しいものへ順応し、変わる事を恐れない草十郎

そして新旧入り交じる街、三咲町

 

性格は全然違うのに、だからこそ綺麗にハマってる3人、あの絶妙に組み合わさってる感じがめちゃくちゃ好きです!

アニメもやるみたいですし、今後の展開も楽しみ

www.youtube.com

ついでに続編も裏で作っててくれないかなぁ

アニメ終わったあとに発表されるのを期待してます、でもその前に月姫の後半かな