気持ちのメモ帳

何故その作品を面白く感じたのか、日々考えた事を忘れないためのブログ。基本ネタバレなのでご注意を…考察はありません、全て妄想です。断言してる表現があったとしても、私は私が考えた事が必ず正しいとは思っていません。

『アイドルマスター シンデレラガールズ U149』感想 子供を、アイドルを描く事に真っ直ぐ向き合った作品

異世界モノを描くのとリアル準拠の世界観では、同じ事を描いたとしても、それを見た時の印象や感想は当然だけど変わってくるわけで

 

アイドルマスターはもともと取り扱ってる題材や、リアルライブをしていく上で、どうしても世界観がリアル準拠に描かれる事は、これまでもそうだったように(なおゼノグラシア)避けられないと思うんです

 

U149アニメ化するよー!と最初に知ったのが秋葉原にあるアトレの広告だったのですが、それを見ながら最初に思ったのは「今の空気感で子供のアイドルがメインの作品ってなんか批判されそう…」って事でした

「子供にこういう仕事させるのってどうなの?」という

 

ここ10年くらいは特にこのあたりの感覚って厳しくなっていったように感じます

2014年に改正された児童ポルノ禁止法からなのか、はじめてのおつかいが海外では衝撃だったという話もありましたね、海外では治安の問題で子供が一人で出歩いてたら事件に巻き込まれる事が多い、だから一人で行かせるなんて考えられないという

記事あった

realsound.jp

そういった事もあって海外では特に子供は守るものってイメージが強いらしい

だからこそネットの普及から価値観が世界も含め均されていったのか、他に要因があるのか、分からないけれど

私が感じるだけで、そうじゃないかもしれないけど(笑

まあ、個人の感想妄想として読んで頂ければ

 

今の時代配信は日本だけじゃありません、じゃあ、子供のアイドルしか出ない作品をアニメ化するよーという時に、その価値観を無視するわけにはいかないって考えがあったんだと思うんです

 

1話の冒頭、彼女たちの所属する事務所の課長や部長の会話

「第3芸能課…急に言われても困るんだよなぁ…」

「去年末のライブの時も、会長の思いつきでえらい目に遭いましたからね」

「まずいよなぁ…まだ小学生でしょ?」

「下の子なんか、うちの娘と同い年ですよ」

冒頭からそこを拾っていくぜ!という宣言

 

さすが、さすが岡本監督!!と

無職転生の監督だったので期待はしていたのですが、ここで一気に引き込まれました

 

この台詞だけでも今後の彼女達がどういう流れになるのかがわかるわけです、当然仕事は少ない、制限もある、ライブだって気軽に出来ない、そもそも事務所全体が乗り気じゃない

1話の冒頭でこれをどう乗り越えていくのかという流れが打ち出される

 

話を通して主人公、プロデューサーは彼女たちを子供ではなく、一人の人間として見ていくようになるわけですけど、このあたりの描き方が凄く上手くて、解決方法が一緒に考えるスタンスなんですよね、主人公が新人プロデューサーというのもあって何でも上手く出来るわけじゃない、この設定も凄く活きてるなぁと思うのですが、そんな彼が彼女達を信頼しているからこそ、子供ではなく、一人の人間として向き合った解決をしていく

 

各回印象深いものが多いけれど、3話の赤城みりあと11話の橘ありすの回は特に印象的です

生放送のコメント欄が荒れてしまうものの、それをなんなく笑顔で受け止めた赤城みりあ

プロデューサーに「怖くなかった?」と問われ、実は怖かったんだと告白する場面

「でもみりあ、みんなが楽しくないと嫌なの、だからプロデューサーも笑って!」

個人的に子供と大人の違いって心で思っている事と違った行動が如何にとれるかというのが1つあるように思います、理性的かどうか

それまでの描き方は凄く子供なんです、でもラストにギャップを見せて来てめちゃくちゃ心打たれるんですよね

ああ、この子は私が思っているよりもずっと考えているんだなって

 

11話の橘ありすの回はその逆です

今まで大人のフリをして、家族にも仲間にも本音を出せずにいた橘ありすが、心の内を見せる回

両親にアイドルデビューする事を告げられず、悩んでいる橘ありすが、今度はプロデューサーの涙を見て、大人も自分と同じ一人の人間なんだと気づく

自分にも見せられないものがあるように、大人もそうなんだと、ここから両親やプロデューサーに対して向き合い方が変わっていきます

「たしかに俺、大人のくせに橘さんより子供っぽいし、頼りない所ばっかりだけど、大人だからさ、応援したいんだ、夢を諦める所なんて、見たくないから」

「橘さんの夢は…大きくなったらどんな大人に…いや大人と子供って何が違うのかな」

子供だと思ってた赤城みりあは大人顔負けな対応を見せて、自分よりも大人な言動や理解を示していた橘ありすは子供らしい一面を隠していた

 

スキップとローファーの最終回でも描かれていましたけど、子供って意外と空気を読む

私も喧嘩の多い両親だったから当時考えていた事は印象深くよく覚えてますし、姉の子供の話…は姉に怒られそうなので割愛…

まあ、そういう事もあって個人的にこの描き方は凄く納得出来ます

 

そんな彼女達は冒頭にあったように事務所の意向でなかなか大きな仕事をさせてもらえない

 

「子供にこういう仕事させるのってどうなの?」というこの感覚の裏にあるものは

・自分で判断が難しい年齢の子たちを大人が食い物にしてるんじゃないか?

・子供は守るもの

大きくこの2つだと思います、事務所に関してはそれに伴った世間体というのが一番大きな理由だと思いますが

 

 

じゃあこれだけ考え、悩んでる子達に対して、彼女たちの持ってる夢から遠ざける行為というのは、それは守ってると言えるのか、夢を潰してるんじゃないのか?と

 

最終回、会長とプロデューサーの会話

会長「ここまで来るの大変だったでしょう?私も応援したんだけどね、やっぱり殻に閉じ込めたがる人達もいるから。子供だからと危ない事から遠ざけていたら成長の機会を奪ってしまう。可愛い子には旅をさせよ、だよ」

プロデューサー「はい、でも、閉じ込めるんじゃなくて、守ろうとしるんだって今は思えるんです。確かに子供だからってなんだよって思う事たくさんありました、もっともっと広い世界で活躍できるのにって。だけど俺が思ってるよりずっと大変だったんです、アイドルをやるって。だから俺自身が成長してもっとたくさん教えてあげられるようになりたいんです、皆がつまずいた時、一人でも立ち上がれるように」

いつだってキラキラで、ファンに夢を見せるのがアイドルですから!

CLANNADで夢を諦めたんじゃない、子供に夢を託したんだという台詞がありましたけど、アイドルの本質ってそこだと思うんです

頑張ってる姿を見て自分も元気を貰った、だから応援したい、夢を叶えて欲しい

私も乃木坂が好きで2016年から5年ほど応援してましたが、その理由だって年の近い子達が頑張っている姿を見て、自分も頑張ろうと思えたからです

 

危ない所から遠ざける事も重要ですが、でも夢を持ってる子達に対して大人が出来る事は遠ざけるだけでなく、努力出来る環境を作って上げる事じゃないのかって、この結論は凄くグッと来ました。

 

私自身も楽しみにしながら心の奥底では『どうなの?』って思ってた側の人間になってしまっていたので、この話にはぶん殴られた気分です

 

 

生きていく上で夢や目標は大切です、それを潰すような世界にしてはいけないと

 

子供だけのアイドルという雑念が生まれそうな作品を、それすら糧にしてアイドルモノへと昇華させた熱い作品だと個人的には感じました、いや素晴らしかったです!!

 

これまた同じクールに『推しの子』があるのがめちゃくちゃ対比になってて面白いのですが、長くなるのでまた別の機会に

 

今年はミリマスとシャニマスのアニメ化もあるので、こっちもめちゃくちゃ期待です!

アイマスのアニメ外れなさ過ぎない?


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