気持ちのメモ帳

何故その作品を面白く感じたのか、日々考えた事を忘れないためのブログ。基本ネタバレなのでご注意を…考察はありません、全て妄想です。断言してる表現があったとしても、私は私が考えた事が必ず正しいとは思っていません。

百合ボイスドラマ『恋、降る』感想 最高です、エモエモです!!

吉宗鋼紀すぺしゃる(吉宗鋼紀 - YouTube)に出演中のAkeoさんがシナリオを担当されてる、【嘘から始まる恋の夏】という作品のクラウドファンディングを少し前に応援したのですが、先行でボイスドラマを公開していたので拝聴

 


これがまた百合エモで最高だったので、まだ聞いてない方は是非!事前知識0で楽しめます

www.youtube.com

 

 


以下ネタバレ込み、個人の妄想感想勝手な解釈

 

薫は両親の本当の姿が見えなくて、悩んで家を飛び出してるわけですけど、そんな彼女に霜月先生が声をかける時の言葉が凄く好きで、最初は先生として声をかけますけど、でも最後は素のような感じで、「思春期は大概にしてほしいって感じ」ってため息を吐く。

これ薫の反応からして普段なら絶対に言わない言葉だと思うんですけど、こういう落ち込んでる時って、優しい言葉とか正論言われるより、普段通り(先生としてじゃなく)に接してくれるのが一番嬉しいんですよね。(人によるとは思いますが、少なくとも私はそう)

薫に対して、霜月先生としてではなく、霜月深玲として接したのは、きっとそういう理由からなんだと思います。


薫は自分が子供だから両親は本当の姿を見せてくれないんだと思っていて、だから大人ぶっていて、カフェオレを出す霜月先生に対しても「ブラックでもいける…」って強がりますけど、でもそれはミルクのみ、砂糖は入ってないカフェオレで、薫は「にがっ」と、その反対に、私は余裕綽々に飲めますという雰囲気な霜月先生

 

でも後半、本当は甘いモノの方が好きなんだと発覚するわけですが…

 

その後は料理を失敗したり、だらしない所を見せたり、大人の幻想をぶち壊していくスタイルの霜月先生

 

やらない事は大人になっても出来ないよという、薫の問題も大人になれば自然と解決するというようなものじゃない、って霜月先生なりの優しい伝え方ですよね。
大人だからというのを都度強調していたのも、このためなんだなって。

 

後半は自分も両親とのいざこざがあって、今もその悩みから抜け出せずにいると霜月先生が告白しますけど、それを自分も同じ悩みを抱えていてるんだよと同じ目線で共有させるのに、ここで呼び方が橘から薫に変わるんです、ここすっごいエモい…!!めっちゃ好きな描写です

 

よく大人は大人のふりが上手いだけって話がありますけど、それをうまく表現されていて、個人的に凄く好きな話でした。

 

まあ、伝えたい人がいなくなってからでは遅いと、これだけ伝えられない故の苦しみを霜月先生から聞いてたんだから、薫も告白しちゃうよなぁってw

 

でも薫が恋だと気づくシーンの回想って、料理を失敗したり、ビールを飲んだり、そういう素を出してる場面じゃなくて、霜月先生が大人として接してる場面なんですよね。

 

薫にとって、必要なものを必要な時にくれた存在、霜月先生も言ってますが、恋とはまた違うような気がします。

 

ラストに霜月先生が「橘は、愛されてきた子供だよ」と伝えるシーンがあるけど、これは本当にそうだと思うんです。
お父さんは自分と血の繋がっていない子供を、今まで気づかれないほど愛情を注いでいた。

私自身、兄と姉は父が違うというのがあって、それを知らされたのが高校生の頃
私が生まれる前はギクシャクもあったようだけど、私が生まれてからは高校まで気づかなかったほど、兄も姉も父もちゃんと家族だったし、その事に凄く感謝してる。

血の濃さよりも、今まで繋がりがあったからこそ、ショックを受ける事も少なかった。(0ではなかったけど…)

そのあとは父と兄と姉からそれまでの苦労話を散々きかされたわけだけどw

それを思うと薫のお父さんの苦労も容易に想像出来るし、私も薫は愛されてきた子だと確信を持って言えるけど、でも薫の気持ちもすっごい分かる…似たような立場を家族が経験していたから、やっぱり感情移入しちゃうよね…

 

この作品は大人と子供というのが凄く強調されているわけだけど、個人的にタコピーの原罪という作品で

"視野が広がって、辛い過去も笑えるようになったら人は大人へ成長する"

というのが描かれていると感じたのだけど、そう思うと最後に薫が霜月先生へ

フラれにきたよ!せんせっ

って冗談まじりに伝えられているのは凄く成長してるように感じて、でもきっとこの台詞にいくまでも色んな葛藤があったんだろうなぁ…と。過去編というか、その話も是非見て見たい!

 

そう考えると、本編は成長した薫よりまずは栞里の悩みがメインになるのかな。

今度は薫が霜月先生の立場になるみたいな。

薫と栞里がお互いの足りない所を埋めていくって話っぽいのだけど、そうなると栞里と霜月先生に共通点があるはずで、ボイスドラマ内の霜月先生の言葉と、栞里の中にある霜月先生を理解して、本当の意味で成長するというような感じなのかな。

ボイスドラマでは薫の気持ちは恋じゃないと霜月先生は言ってますけど、それって自分のために薫を匿っていた先生も、薫に対して同じような感情を抱いていたからだと思っていたのですが、仮に本編で成長した薫が霜月先生の立場を理解したとしたら、栞里と恋をするまでにも「これは恋じゃない…」って葛藤がありそう…波乱の予感

 

先日見た【夏へのトンネル、さよならの出口】という映画

家庭崩壊したきっかけの妹の死を取り戻すために、自分の人生を犠牲にする主人公と、新しい奥さんを見つけたお父さん、という構成があったけど、最後は主人公も妹ではなく、今の彼女を選んで大人になるっていう

「お互いの大切な人を、上書きするための恋」という文言的に、同じような結論に至るのかなって映画みながら考えていました。

過去ではなく、今が大切なんだよと。

霜月先生の

辛い事、悲しい事たくさんあるだろうけど、まあ、最後は、カーッと飲み干しちゃえばいい!

って台詞はその結論にいきつくための台詞のような気もする。

夏へのトンネルの感想はこちら↓

memommo.hatenablog.com

 

本当はこういう話の展開どうなるんだろうって想像しない方が楽しめるのだけど、ボイスドラマ凄く良かったから、妄想捗っちゃうよねw

 

ちなみに薫の名前は空、霜月先生は月をモチーフにしてるという話を以前TwitterのスペースでAkeoさんが仰っていたのですが(他のヒロインが陸と海らしい)
空と月、地上(陸と海)からみれば近くにあるんですけど、そこには決して交わらない距離があるとか…暗い空はいつも月が照らしてくれてるとか…二人の関係を想うと色んな妄想が出来て凄く良いw


ちょうどこの作品が出た頃、お世話になった沖縄の親戚がもう長くないと言われて、認知症も併発してる関係で私が誰かはもう分かってない状態だったのですが、連絡をするきっかけをくれたのがこの作品で、本当に良い出会いだったなと。

こういうあの時言っておけば良かったなとか、伝えられなかった故の後悔みたいなものって、大なり小なりみんなあるんじゃないかなと思うんですけど、その悩みに直面したとき、背中を押してくれる凄く良い作品なので、まだ聴いてない方は、是非オススメです!